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官僚から社会人博士への道 vol.4 ~若い時の苦労は買ってでもしよう。ただし奨学金で~

この記事は官僚である筆者が自主休職して社会人博士を目指す様子をお届けする雑記帳である。

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1.社会人が奨学金をもらうことは難しいのか

大学探しと並行して進めていたのが奨学金をゲットするというミッションである。

 

もし似たようなことにチャレンジされる方がいれば初めにお伝えしておきたいのは、民間奨学金社会人が貰うのは非常に険しいイバラの道だということである。

 

理由は2つ。1つは、返済義務のない給付型奨学金は倍率が数十倍というのがザラで、そもそもハードルが高いから。もう1つは、学生と社会人がその少ない椅子を争う場合、どうしても金銭的に余裕があると見られがちな社会人の方が不利になるのだ。

 

幸運なことに僕は応募七つ目くらいで奨学金をいただくことができたが、奨学金がもらえなければ大学の入学権を1年遅らせることも視野に粘り強く応募し続けるという覚悟だった。

 

 

 

2.奨学金の種類

社会人が応募できる給付型(返済不要)の奨学金としてはざっと以下のようなものがある。

※すべて2021年に調べた当時の情報なので、今年度以降も同じ条件とは限らない。

  • 神山財団(併給OK)
  • 本庄国際奨学財団
  • 重田財団(併給OK)
  • FASID国際開発機構(学生のみ対象だが、入学決定後や在学中に応募可)
  • BCJA(少額。併給OK。英国の大学・大学院、研究機関、その他の学術研究施設に3ヶ月以上滞在)
  • 船井情報財団
  • IELTS(少額。併給OK)
  • 平和中島財団
  • 中島国際
  • 日本学生支援機構 JASSO(併給OK。ただし休職はNGで退職必須)
  • ロータリー財団(現住所か本籍かで応募する地区を選べる。東京など都心部は倍率が段違いに高い。)
  • 世界銀行奨学金(公務員は応募不可)
  • 伊藤国際教育交流財団(修士課程のみ募集。29歳以下を推奨)
  • 吉田育英会(大学に在籍していないと応募不可)
  • チーブニング

これは私がイギリスに行くための奨学金をスクリーニングしたものであり、他の国や地域に特化した奨学金(米国のフルブライトなど)は除外している。逆に言うと人によってはもっと応募できる奨学金が多いかもしれないということだ。

 

3.JASSOをもらえる方は貰っておくべし

具体的な証拠があるわけではないが、この中で最も倍率が低いのはJASSOだと思われる

というのも、JASSOは毎年100人以上を採用しており間口が非常に広い。そして、JASSO奨学金は応募時期が9月ごろと比較的早い(学期が9月開始の大学に行く方であればちょうど1年前にあたる)一方で、英語の要件がIELTSで7.0、TOEFLで100点以上という高めの設定である。よって、この時期に応募要件を満たしている人が多くないのだ。

 

また、JASSOは他の奨学金の3倍くらい応募書類が多くてそろえるのに時間がかかるので、相当やる気がないと応募までいかずに脱落してしまうのである。

 

だが、それほど間口が広い割に良い点もある。まず、もらえる額が大きい。地域にもよるが月10万円強の生活費に加えて、授業料を1万ドルまでは実費支給してくれる。しかも、これほど大型の給付型奨学金の割に併給OKという点も嬉しい。

 

欠点は上に述べた応募の難しさという点と、あとは雇用されている人は応募できないという点だろう。JASSOは応募書類で退職証明を出さなければならない。筆者はこの条件を読み飛ばし、膨大な書類を何日もかけて整えた後にようやく知ってしまったことから、PCを窓から投げ捨てそうになった。

 

4.奨学金の狭き門を潜り抜けるには

上に挙げた奨学金は大きく分けると2つのタイプに分けられる。すなわち、応募時点で大学院からの入学許可がなくてもよいものと、入学許可が必須のものである。

 

どちらの場合であっても、選考プロセスがより具体的に進んでいる方が有利なのは間違いない。例えば、既にスーパーバイザーになってくれる先生を見つけている方が有利になる。また、研究計画がより具体的に固まっている方が説得力が高まるし、その計画をスーパーバイザーや大学側が承認してくれていると言えればなお良い。

 

加えて、各奨学金にはそれぞれが目指す理想の奨学生像というのが必ずある。募集要項やHPに明確に書かれていることが多いので、願書を書く時には必ず意識するべきである。

 

特に、「○○分野での研究」といった例示をしている奨学金は注意すべきだ。私が奨学金獲得者の研究テーマとその奨学金の募集分野の関係性を調べた経験上、こういう分野の例示はかなり厳密に守られていた。要は、少し募集テーマから外れている研究が採択されていることはほとんど無かった

 

もしあなたの研究が国際的にみても非常に学術価値の高いもので、しかも超有名大学でやることになっている、というのであれば別だが、並みレベルの研究であれば奨学金側が募集テーマから外れた研究採択するメリットが小さいので、これはある意味当然と言えるだろう。裏を返せば、無理に出しても採択される可能性は低いということなので、時間と労力を節約する観点からは事前によく確認すべき事項の1つである。

 

 

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