おーい、えび。

えびのたわごと

【英国の洗礼】シンクが詰まって業者を呼んだら10万近くかかった話

シンクの水の流れが以前から少し怪しいと思っていたらいよいよ止まってしまった。せっかくなのでその体験談を本日は記事にしたい。

 

 

ことの始まり

大きなゴミは流さないよう気を付けていたが、約半年の使用にして1回目の詰まりだ。

 

ブログによく紹介されているMr マッスルという薬剤を流して様子を見たが効果なし。

 

P字型のパイプを外して掃除してみたが変わらず、最終手段のスッポン(英名はplungerというらしい)を使うも改善が見られない。どうも奥の方で詰まっているらしいことは分かったが、素人ではお手上げだった。

 

アパートのコンシェルジュに相談すると、月曜日まで待てばサービスを呼べるとのことだが、詰まったのは金曜日。さすがに週末3日間ずっと自炊できないのは不便なので諦めて業者を呼ぶことにした。

 

※ちなみに賃貸契約書では「住人の責任で詰まった場合は自己責任」とあったが、この責任範囲は原因を調べてみなければ分からないものだし、かなりグレーな気がする。

 

 

業者探し

ネットでは「24時間いつでも対応」を謳っている会社が山ほどある。しかし、イギリス暮らしも半年を超えた程度の筆者ですらイギリスのクオリティでそんな優秀なことはありえないと知っている。

 

まずはあまり期待せず、評判の良さそうな会社の申込フォームに依頼してみた。迅速にコールバックしますと画面に表示されたが、半日以上経ってもいっこうに音沙汰なし。うーん、この対応。期待を裏切らないのがさすが。

最近、筆者はイギリスは発展が終わった国(developed country)だと理解しつつある。

 

仕方ないので別の会社に、今度は電話でかけてみた。電話は音声が聞き取りづらくて苦手なのであまりやりたくなかったがやむを得ない。こちらはすぐにつながった。

 

最初に料金の説明があり、30分につき65ポンド、プラス作業次第という設定とのこと。この料金に同意するか?と聞かれた。HPにはこのあたりの情報が一切載っていなかったのも安定のイギリス品質。1時間~1時間半もあれば終わるだろうと予想し、承諾(←のちの悲劇の始まり)。

 

次に名前、電話番号、住所、希望する日程を聞かれた。今日の午後早めにとお願いすると、12時半ぐらいに行けるという回答。

 

続いて、車を停める場所があるかと聞かれた。よく分からなかったが、そこらに車は路駐されまくっているので適当に停められるんじゃないのと言うと、ちゃんとアパート側に確認するよう言われた。コンシェルジュに行って聞いてみると、夜間以外は路駐禁止だという。代わりにアパートの駐車場に停めてよいと言われた。危ない危ない。

 

 

業者到着

さて、12時半を少し回ったころに業者が予定どおり到着。このおじさんは至って普通の配管工という感じだったが、1つ困ったのは訛がきつすぎて何を言っているのかさっぱり分からないということ。近頃は大学で一般人と会話する分には苦労しなくなってきている筆者だったが、このおじさんにはwhat's your name?すら3回聞き返さなければならなかった。

 

到着するとまず最初に料金体系の再説明。その後、さっそく作業に取り掛かる。

 

 

難産のはじまり…

シンク直下のパイプを外すと、まず取り出したのがこのDrain Unblockerというそのまんまの名前の道具。ワイヤーの先をパイプの中に入れて、後部のハンドルでその先っぽをぐるぐるとかき回すことができるものだ。

www.toolstation.com

これで詰まりをゴリゴリと崩していく。パイプが壊れないかと思うぐらい大きな音がする。かなり重労働のようで、おじさんも限界まで自分を追い込むアスリートのような雄たけびを出しながら毎回ハンドルを回す(それいる?)。額に汗を浮かべながら削ること30分だが、よっぽど奥まで詰まっているらしく、開通する気配がない。

 

1度ワイヤーを抜いて水を流してみるが、やはり流れず。おじさんも首をかしげて「こりゃかなりマズい感じだねえ」と不安げなセリフを吐きつつ、同じような作業を繰り返す。見守る筆者は65ポンドの時給も気になるしチャチャッと帰ってほしいが、業者まで呼んだのに直らず諦められたらどうしようという不安もあり、気が気ではない。

 

最深部まで到達したワイヤーの先にでかめの木片が引っ掛かってきて、いよいよおじさんも困惑気味。もちろん木片など流したことはない筆者も困惑。(長年の住人たちの時限爆弾が今になって爆発ようなものではないのか…)

 

さらに悪いことに、どうやらアパートの配管の構造が異様で、あるべきはずのパイプの確認箇所のようなものが見当たらない模様。あちこち板を引っぺがした挙句、どうやら根本的な急所は壁に埋めこまれていて手が出せないことが判明した。

 

やむを得ず最終手段として、強力な薬剤を流して溶かそうということになった。これがお値段140ポンドバカ高ぇ…。しかし、ここでやめては意味がない。最後の望みをかけてこれを実行。

 

するとようやく開通の兆しが見え始めた。とどめのドリルワイヤーを再度入れてゴリゴリやると、ついにスムーズに水が流れるようになった。

 

精算…

やっとこさ開通作業が終わったのが開始から2時間。そこから剥がした壁板の現状復帰やら薬剤の中和やらでなんやかんや30分。計2時間半。

 

緊張のお会計は以下のとおり。

工賃 65ポンド /30分 ×5 = 325ポンド

薬剤 140ポンド

VAT  20% = 90ポンド

計558ポンド = 約10万円也

 

ドブカスがあ!!!

おじさんの名誉のために言っておくが、作業をずっと見ていた限り、彼が時間を無駄にかけたりしていないことは素人目線ながら何となく分かっている。ゼェゼェ言いながら全力でハンドルを回す姿には職人魂があった。ネットで後から相場を見たが、ロンドンで緊急で配管工を呼んだ際の時給としても法外というほどではないらしい。

 

しかし、これは出費として痛すぎる…。下手すれば日本に一回帰れるではないか。

 

だいたい、配管が細すぎるんだよ。ネットに溢れる詰まり情報を見る限り、うちに限った話ではないありふれた問題だ。そもそもの設計が粗悪すぎるのではないか(怒)。

 

前々から思っていたが、このイギリスとかいう国はあらゆる物事のクオリティが1つか2つ低いところで止まっている。イギリスを愛してやまない方々には申し訳ないが、何につけても費用に対して質が釣り合っていない。絶対にイギリスには長居しない

 

イギリスには良い人が多いよ、とか、街並みがオシャレだし、とかもうそういうのでリカバリーできる次元の話ではない。よく考えたら良い人なんで世界中どの町にもいるし。そう思うと世界が急に開けてくる気もする。

 

次はどこの国に住もうか。ケニアかな。でも最後はやっぱり日本だな。

 

 

※追記

その後、配管工が予言したとおり、1か月ほどでまた詰まりが発生した。今度はアパート側に依頼して直してもらったのだが、費用は1ペニーも請求されなかった(ただ、必ず無料とは限らないらしい)。修理が来てくれたのは、こちらが依頼してから10日ほど経った後であり、その間はまったくキッチンで水を使えないという非常に不便な思いをした。

 

まあこれはうちのアパートの対応が特別に遅いだけの可能性もあるし、アパートに住んでいる人はひとまず大家に相談してみることをおススメする。流れが悪いなと思いはじめたら勝手に良くなることはまずないので、早めに依頼するのが吉だろう。