【今回の目次】
IELTS受験当日の立ち回り
スポーツの試合と同じように、IELTSのスコアも受験当日の立ち回りによって左右される。IELTSについて言うと、純ジャパにとっては普段使うことのない英語モードの脳に切り替えるウォーミングアップが極めて重要だと思っている。
野球の試合で素振りをせずに打席に立ったり、ピッチャーが肩を温めないままいきなりマウンドに上がることはまずない。英語も技能なので当然準備運動の時間が必要であり、この場合は脳みそをどういうやり方でホカホカの状態に持っていくかということだ。
ペーパーテストの場合、会場に集合し、ライティング(書く)、リーディング(読む)、リスニング(聴く)、少し時間をあけてスピーキング(話す)という流れなので、これに沿って僕のウォーミングアップと、テスト中の工夫も少し紹介する。
ライティングテストの受け方
IELTSの場合、会場に集合してからパスポートチェック等の入室手続きを経て最初のライティングテストが始まるまでにかなりの待ち時間がある。おすすめは会場案内開始時刻(試験の1時間前)に会場周辺に到着し、会場のまわりのカフェか会場ビルのロビーなどで一度腰を落ち着けることだ。これはパスポートの印刷忘れなどのリスクも考慮している。入室手続きをしてしまうと参考書の類は持ち込めないので、あまり早く入りすぎるのはアップの機会の損失、待ち疲れ、トイレ(←超重要!)の観点から得策ではない。
ライティングテストの前のウォームアップとしては、前の記事にも書いた、自分の意見を述べる型を改めて見直すのが良いと思う。 朝早いので、指先も使って脳みそを起こしてあげる意味では、いくつかの文章を鉛筆で書き出してみたりするのもよい。
なお、たまに単語帳を見ている方を見かけるが、個人的にはやめた方がよいと思う。単語帳はあくまで長期的にコツコツやることに意味がある作業で、この土壇場に単語をいくつか記憶しても本番で使う確率は低くコスパが悪いし、そもそも意見を述べる試験であるライティングのウォーミングアップにはなっていない(もうすぐ打席が回ってくるのにバットの素振りではなく走り込みをしているようなもの)。何かを読むとしたら、英語のコラム記事とかがいいと思う。
テスト中に意識しておくべきこととしては
①task1よりtask2の方が配点が高い(→絶対にtask1で深追いしない)
②覚えていない単語は絶対に無理をしない
③多少の「でっちあげ」はテストのうち
この3点である。特に3点目、task2では、自分の主張を下支えする根拠を必ず書くことになるが、僕は幅広い問題設定に対応できるほど博識ではないので、でっち上げの根拠を書くことも多かった(ポイントは「んなアホな、と言われない程度の嘘」)。ネットでは嘘を書くとスコアに響くという情報もあったりするが、少なくとも公表されている採点基準にはそういうことは書かれておらず、真偽のほどは分からない。当然、実際のアカデミックの世界でこれをすると永久追放ものだが、IELTSはあくまで英語力を判定する場であって知識を競う場ではないので、採点者がツッコミを入れたくなるような突飛な嘘でなければよいのではないかと信じている。これは根が真面目な人ほど心理的な抵抗があるので、普段の練習段階からやっていないと本番ではできないと思うし、無理にオススメはしない。
リーディングテストの受け方
リーディングテストはライティングから間を置かずに始まるが、英語的な負荷が非常に高い筆記作業を終えた直後なので、脳は温まっているどころかオーバーヒート状態にある。よって、ここでのポイントはライティングの結果を引きずらず、次への切り替えを迅速に行うことだ。
実際にやるべきこととしては、(その2)で述べたとおり、リーディングはだいたい2パターン
「易しめ」・「ちょい難」・「難」 か、
「普通」・「普通」・「難」
の3題が出されるということを思い出すこと、これだけで十分。あとは指をぷらぷらするとかしてクールダウンするとよい。
テスト中の対応だが、当然、「難」には時間がかかるので、読み出しの感覚として「あれ、これ難しくないか…?」と感じたら別の長文から取り掛かるなど、冷静な対応が必要になる(感覚的に1問目は「易しめ」か「普通」が多い)。たまに、「3題全部難しいやんけ…」となることもあるが、そんなことは多分ないので、とにかく一番取っ付きやすそうな問題から取り掛かる。
IELTSの長文には、「TRUE/FALSE/NOT GIVEN問題」や、「この主張をしているのは誰でしょう問題」というのがある。こういう問題はだいたい1パラグラフ読めば答えが分かることが多い。そこで、問題を先に見て1パラ読み、回答し、また次の問題を見てから1パラ読み、ということをしていけば、全体を読まなくともだいたいの話の流れは分かってくる。僕は基本的に長文読解は最初に一気に全部読んで筆者の大きな主張を掴んで回答するのが好きだし、ベターだと思っている人間なのだが、IELTSに限ってはこのやり方の方が効率的だった。
また、最後に時間がなくなってすべて回答できないこともある。こういうとき、TRUE/FALSE/NOT GIVEN問題は最悪読まなくても書けば当たる可能性があるが、単語の抜粋問題などが残ると当てずっぽうでは無理なので詰んでしまう。多少姑息ではあるが、時間が足りないのが分かってきた時点で、3択の問題は最後にとっておくという戦略も必要になる。
リスニングテストの受け方
書く・読む、2つのテストを受けて、すでにヘロヘロ状態だが、ここからは頭と指を使う作業から、主に耳をフルに使う作業になる。このことを強く意識して、脳みそのモードを切り替える準備をしたいところ。
そこで、僕の場合は試験官が英語でアナウンスしていることをシャドーイングするということをやっていた。効果のほどは分からないが、「何もしないよりは良いかな…」という意識であった。
IELTSはトイレに非常に厳しいテストである。リスニングテストが始まるともうトイレに行けないのだが、僕の場合、この段階になると結構限界に近づくこともありつらかった。試験との戦いのはずが膀胱との戦いにならないようにするためにも試験開始前にあまり早く入室しすぎないことをオススメしたい。
スピーキングテストの受け方
リスニングが終わると一旦会場を離れ、スピーキングの試験まで待つことになる。この待ち時間はその時々で変わるが、長い方が色々とラッキーである。待ち時間にはまず、脳が相当疲弊している状態なので、しっかりと糖分を摂取する。時間がない場合は栄養ドリンクでも良い。
次に、ウォーミングアップである。スピーキングは当然口を動かす唯一の試験なので、脳のモードを切り替えるのに結構時間がかかる。このため、ウォームアップが結果に最も影響する分野だと考えており、具体的には「声を出す」のが最も有効なアップ方法だと思う。
声に出す内容は何でもよいが、本番を想定して、とりあえず挨拶から始め、練習問題を使ってぼそぼそと呟くのが良いのではないか。僕は近くのカフェでずっとこれをやっていた(怪)
練習問題の例→ IELTS Speaking Samples and Answers
試験まで時間があるなら、オンライン英会話の25分間レッスンを挟むのもよいかもしれない。日本人にとって外国人と喋る機会はそうないので、心理的なハードルを下げる効果が見込める。
あとは試験本番だが、IELTSは実際に人と喋るので、試験と思いすぎず自信を持って会話を楽しむことが何より重要ではないかと思う。たかだか10分~15分で、オンライン英会話25分の半分にも満たない試験時間だと思えば気が楽になる。とにかく楽しむことをオススメする。
最後に
以上、徒然なるままにご紹介した方法論だが、ご覧のとおり、短期的に成果を出すための工夫という程度のものであり、実際の英語力は地道にやっていかないと向上しない。それを百も承知の上で、「急いでスコア取らないとまずいんだって!!!」という方に少しでも参考になれば幸いである。