おーい、えび。

えびのたわごと

【厳選】2023年に読んで面白かったマンガ3選

今年も残すところあと2日ということで、今年読んだマンガを振り返りたい。

 

イギリスに留学して1年が過ぎたが、相変わらず『呪術廻戦』や『チェンソーマン』、『怪獣8号』あたりはずっと読み続けている。果たしてジャンプから卒業する日は来るのだろうか。

ooiebi.hatenablog.jp

 

上に挙げたのは言わずと知れた人気作品だが、それ以外にもたくさんの作品に出会うことができた。今回の記事では、世間でそこまで有名ではない個人的5つ星マンガを3つご紹介したい。

 

1.ひらやすみ

bigcomicbros.net

ビッグコミックスピリッツからは真造圭吾の『ひらやすみ』をご紹介する。

 

主人公のヒロト君、いとこのなつみちゃんたちが繰り広げる、何の変哲もない日常が舞台の本作。

 

日常に起こる「何か」は決して特別なものではないのだが、目の付け所がとてもハイセンスなところが気に入っている。

 

ヒロト君たちの世界には不幸せなことも起きる。ただし、そこには救いもある優しい世界線だ。真造氏の柔らかい画風にもよくマッチしている。

 

夜に読めば次の朝を温かい気持ちで迎えられる、疲れた大人のための絵本のような作品である。*1

 

 

2.ヴァンピアーズ

sundaygx.com

2つめはアキリの『ヴァンピアーズ』を推したい。

 

本作は人間の女子中学生と吸血鬼の少女の恋愛を描いた百合ラブコメといった感じの作品。百合もラブコメもあまり好んでは読まないジャンルだが、この作品はとても面白かった。

 

まずマンガとしてのあらゆるクオリティがとても高い。ストーリーの面白さとテンポ感、構図の新しさなど、どれをとっても非の付け所がなく、「マンガ読んでるわ~!!」と嬉しくなるような、純粋な読む楽しさを味わえた。

 

テーマも面白い。

 

主人公の1人、アリアは吸血鬼で、本来は不老不死の存在だ。そのアリアがもう1人の主人公である女子中学生の一花に対して、自分を殺してほしいとお願いするところから始まるのだが、そんなアリアに対して、一花は恋愛感情を持ってしまう。

 

生と死。性と愛。そんなテーマを女子中学生の百合の中で描こうというのだから、それはもうえらいこっちゃだ(語彙の死)。

 

ともすれば重い話になりそうなものだが、シリアスとギャグが絶妙のバランス感でまとめられている。おかげで、ラブコメよりも深い場所に1歩踏み出しているのに、しっかりコメディとしても着地している。そんな一作。

 

3.あおざくら 防衛大学校物語

websunday.net

 

3作目は少年サンデーより、『あおざくら 防衛大学校物語』。

 

防衛大学校に入学した主人公の成長を追っていくのが本作の基本的な流れ。防衛大とは自衛隊の幹部自衛官を育てるための機関で、恥ずかしながら本作を読むまで筆者はその存在をよく知らなかった。

 

実在の学校をベースにした学園モノなので、読んでいて色々と学びがあるのが面白い(同じ理由から、荒川弘の『銀の匙』なども筆者は大好きだ。)。

 

ちょうどウクライナやガザの戦争の影響で国防に興味を持っていた時期で、かわぐちかいじ作品を色々と読んでいたところだったので、『あおざくら』も自分の興味にドストライクでぶっ刺さった。

 

主人公が色々な失敗や経験をして成長していくのは学園モノの常であるが、防衛大で課される訓練は生半可なものではない。そんな張りつめた日常にコメディ要素がうまく盛り込まれているので、良い意味で重過ぎず、サクサクと読み進めることができる。

 

 

 

以上、今年のお気に入り作品3つをご紹介した。

 

年末年始にお時間がある方はぜひお試しいただけると幸いである。

*1:余談だが、もし連載時期が重なっていれば、浅野いにおの『おやすみプンプン』とこの作品が同じスピリッツに掲載されていたのかと思うと笑えてくる。『ひらやすみ』を読んだ後に連続して『プンプン』を読んだりしようものなら、感情の振れ幅が大きすぎて頭がおかしくなりそうだ。どっちも面白いし大好きではあるのだが。

官僚から社会人博士への道 vol.16 ~正しいスラムの歩き方 実践編~

スラムの歩き方実践編。前編はこちらから↓

ooiebi.hatenablog.jp

 

基礎知識も身に付けたところで、いよいよスラムに足を踏み入れる実践編のアドバイスに進んでいこう。

 

1.一人では歩かない。

スラムで絶対に守らなければいけないことの第一位は、一人で歩かないということだ。

 

そもそもスラムは警察が介入しない無法地帯になっていることが多い。つまり、どれだけ気をつけていても犯罪にあったり、思わぬ怪我をするリスクがあるということを理解しておく。

 

また、スラムではgoogle マップや標識などが利用できないことがほとんどだ。スラムの内部は入り組んでいて、ガイド無しでは帰ってこられなくなる危険性すらある。

 

以上を踏まえ、スラム内部に詳しい人をどうにかして見つけ、一緒に来てもらうことが必須である。信頼できるツアーがあればそれを利用すれば良いし、ツテをたどって現地の研究機関の人を紹介してもらうのも良いだろう。

 

随行はできれば2人以上をオススメする。ガイドはスラムの住人と話し込んでしまうことがよくあり、1人だとその間に自分が無防備になる恐れがあるからだ。

 

なお、ナイロビの場合、現地ガイドには1回につき1,000円程度を支払っていた。雇用条件は事前にはっきり合意しておき、安全な場所に帰ってきてから支払うべし。

 

2.お金になりそうなものは極力持っていかない。

次のアドバイスは、お金になりそうなものは持っていかないということだ。

 

まず前提として、スラムでは「外国人」=「金持ち」という認識がされると思っておいてほしい。実際、一日に100円~200円の収入で生活する住民から見れば、飛行機に乗ってわざわざスラムまで来る物好きはよっぽど金に余裕があるとしか見えない。

 

スラムにはギャングも潜伏していることが多い。金の匂いを見せてしまうと後をつけられて被害にあう恐れもある。

 

スマホを持っている人はスラムの住民にも意外といるが、極力見せないことが賢明だ。写真を撮りたい場合は、ガイドに伝え、周りの安全を確認してからにする。

 

パスポートやカードもできればホテルに置いていった方がよい。ガイドに払う謝礼と交通費をカバーするだけの最小限の現金をいくつかのポケットに分散して持つのが良い。

 

3.金品はなるべくあげない。

1つ上の項目とも関係するが、お金や物はなるべくあげてはいけない

 

スラムで生活する人たちは本当に生活に窮しているので、お金への執着は我々日本人では想像もできないほどに深い。そんな彼らの生活圏に急に大金持ちの外国人が来たら、彼らは躊躇なくお金を無心に来る。

 

かわいい子ども達や、見るからに病気の老人などに取り囲まれることはザラだ。

 

しかし、一旦金品をあげてしまうと際限がない。そして、一人にあげると他の人に伝わり、次々と人がやってくる。周りに人が来れば来るほど、トラブルに合う可能性は高まっていく。

 

スラムはそういう場所なので、お金をせびられるのが苦手だったり断るのが心苦しかったりする人はそもそもスラムに足を踏み入れない方が良いかもしれない。

 

3.現地語は少しでも覚えていく。

たとえ英語やフランス語が公用語の国であっても、スラムでは現地語しか話せない人が多い。

 

そんな住民たちと意思疎通し、少しでも気分よくスラムから帰ってくるためには、現地語の理解が欠かせない。

 

元気?、ありがとう、またね、といった基礎的な挨拶くらいは覚えていくと住民も笑顔で返してくれることが多い。そのほかによく使うのは、「名前は何?⇒●●だよ」とか、「中国人じゃないよ、私は日本人だ。」あたり。

 

4.良い服、良い靴は避ける。

良い服、良い靴は着用しないというのは、お金持ちのように見せないということの他にも重要な意味がある。

 

それは、スラムがとても歩きづらく、汚く、そして臭いからだ。

 

スラムには基本的にゴミ回収サービスがないので、生ごみは川や道端に山積みされている。そのごみを牛やヤギ、ブタ、犬、ニワトリなどの家畜がつついている。

 

下水道もほとんど整備されておらず、家庭から出る排水が道の表面を流れている。時にはう●ちやおし●こを飛び越えて歩かなければならない。

 

道はほとんど舗装されておらず、でこぼこだらけで転びやすいし、粉塵が舞っている。そのような環境であることを前提として、汚れてもいい服、歩きやすい靴で臨むことだ。

 

足元だけでなく、頭上にもトタン板が突き出していたり、剥き出しの電線が掛かっていたりするので、決して油断してはいけない。

 

5.スラム内部の店は利用しない

スラムの中には驚くほどたくさんの店があり、八百屋、肉屋、金物屋、食堂などがある。料理は一食あたり数十円ほどだ。

 

しかし、これらは極力利用しないことをオススメする。理由はその衛生状態だ。

 

スラムで扱われる野菜、くだもの、容器、レジ袋などは付近の川を使って洗っていたりする。この川は基本的にスラムから来る汚水でひどく汚染されているため、一見キレイな見た目であっても細菌や寄生虫などに感染するリスクがある。

 

ぼっとん便所から汲み取ったものを捨てている川の下流で洗った野菜と言えば、どれくらい危険かはお分かりいただけるだろう。

 

お肉屋にしても、スラム内で飼われている家畜を売っていることが多い。この家畜はスラムで捨てられた生ごみを食べたり、川の水を飲んで生きているため、重金属や化学物質、寄生虫などを含んでいる可能性がある。

 

十分なトイレや医療設備のないスラムで倒れたくなければ、何も口にしないことが賢明だ。

 

おわりに

以上がスラムの歩き方実践編である。

 

繰り返しになるが、スラムは決して安全な場所ではない。比較的ましな区域でも道端で大麻を普通に育てていたり、メタノール入りの密造酒を作っていたりして驚くことばかりだ。

 

スラム内部には教会や学校、簡易宿泊所など、実に色々な施設があり、1つのコミュニティとして成立している。

 

しかし、そのコミュニティのルールや秩序は、日本人の常識からすれば考えられないことばかりだ。ここには書けなかった悲惨な話もたくさんある。

 

もしそんなスラムに関心を持ち、リスクを承知の上で何かを学びたいという方がいれば、是非この記事を熟読した上で、スラムに足を踏み入れていただきたい。

官僚から社会人博士への道 vol.15 ~正しいスラムの歩き方 基礎編~

筆者は官僚を休職して社会人学生をしている。学んでいるのは「スラム」についてだ。

 

現在の日本にはいわゆるスラムは存在しない。よって、スラムに関する知識が日本での仕事に役に立つことはほぼないだろう。

 

しかし、日本と対極にあるような世界だからこそ心惹かれるというのもまた事実である。今回の記事では、筆者が実際に歩いてきたケニアのスラムのリアルな実情をお届けする。

 

スラムとは?

まず、スラムとはどんな場所なのか。国連の定義では以下の条件を1つ以上を満たせていない家が集まった都市部の地域を指す。

  • 厳しい気候から永続的に守ってくれる頑丈な家がある
  • 家が十分に広くて、1つの部屋をシェアしている人数が3人以下
  • 十分な量の安全な水を安く簡単に手に入れられる
  • 公共あるいは私有のちゃんとしたトイレが利用でき、そのトイレを利用するのは妥当な人数である
  • 強制立ち退きを防いでくれる賃借権が保障されている

まず1つめの条件、家については基本的にトタン板やレンガなどで応急的に作られた家が多い。ドアがないこともしょっちゅうで、入口にかかった布切れが唯一の仕切りであることも。セキュリティは無いに等しい。

 

スラムにはたくさんの長屋があり、その1室1室、四畳半くらいの空間には一家5,6人がひしめいて生活していたりする。

 

そんな家にも実はちゃんと大家がいて、家賃を徴収している。立地や条件によって家賃が変わるのは日本の賃貸と同じ。ナイロビのスラムでは月に数千円というのが相場だ。

 

ちなみに、住民1人当たりの月収はたいてい1万円以下で、多くの人は5千円以下だ。つまり、1日当たりに使えるのは単純計算で100~200円ということになる。

4つめの条件のトイレについては、多くの人がぼっとん便所を利用している。長屋にトイレがない場合は家賃が少し安くなるが、その分、公衆トイレを使わなければならない(料金は1回約10円)。

 

5つめの条件、強制立ち退きというのは日本人にとってはよく分からない話かもしれない。これは、家賃を払っていても強制的に立ち退きを迫られることがあるということだ。それも行政によって。

 

日本では考えられないが、基本的にスラムは住民が政府の所有地に勝手に定着してしまっているケースが多い。よって、政府がもし新しい道路や建物を作りたいという話になれば、強制的に家を壊してでも立ち退きをさせることがあるのだ。

 

スラムにも個性がある

意外ではあるが、一口にスラムと言っても、その特徴は千差万別である。

 

ナイロビ市内にもスラムは大小あわせると100以上あるとされている。僕が歩いたのはそのうちほんの5,6か所だが、すべて違った景色が広がっていた。

 

まず、スラムにも実は格というのがある。豊かさ、あるいは発展の度合いと言い換えてもいいだろう。

車窓から見た世界最大級のスラム・キベラスラム

ナイロビで有名なのは世界最大級と言われるキベラスラムだ。このスラムは歴史も非常に古い。都市中心部という利便性の高い立地のおかげで、人が人を呼び、人口密度は特に高い。

 

僕が滞在していたゲストハウスの警備員さんもこのキベラから通っている人だった。市内には家政婦や露店など、多くの職があり、おかげで他のスラムよりもやや裕福だそうだ。

 

キベラは世界的に有名ということもあって、数多くのNGOが参入しているという特徴もある。水道やトイレ、学校や病院などをNGOが投資して設置していることから、他のスラムよりもしっかりした村という感じを受ける。

 

だが、”その他多数”のスラムではキベラのようにはいかない。例えば、郊外にあるナイロビで3番目に大きいスラムは、成立した年代が新しく、キベラほど名前が売れていない。そして、郊外にあるため、お金になる産業も乏しい。

 

その結果、住民の多くは付近のごみ処分場から拾ってくる金属や有価物のリサイクルに依存して生計を立てている。収入は相対的に低く、有害な作業に携わるため健康リスクも高い。こうした条件のため、低所得者が集まり、犯罪率も他のスラムより高い。

 

一方、どのスラムにも共通している点もある。それは警察や政府がスラムの住民にとって味方ではないということだ。

 

先に強制立ち退きの話を挙げたが、それはほんの一例である。

 

他にも、ごみの不法投棄や密造酒、売春、薬物の売買など、あらゆる不法行為は基本的に賄賂があれば見逃され、賄賂を払えない者は逮捕される。違法行為だけでなく、露店の商売に対するみかじめ料など、あらゆる活動にイチャモンを付けて賄賂を請求する。そんな警官たちのことを住民たちは「Tax Collector」と呼んで敵視している。

 

もう1つの共通点はスラムがギャングにとっての温床だということだ。

 

スラムには多くの人が流れ着いて、短期間にころころ居場所を変える。そして、警察や行政がまともに機能していない。これらの特徴はいずれも犯罪者が潜伏するのには都合が良い。

 

特に、警察が帰った夜間にはギャングが活発に活動するため、スラムには決して近づいてはいけない。

 

(後編に続く)

ooiebi.hatenablog.jp

 

ケニア人の謎話術

研究でケニアにしばらく滞在している。日々ケニア人と戯れている中で、彼らの独特な話法に気づいた。

 

例えばこんな感じ。

Aさん:今日はカレーを作りたいと思う。にんじん、玉ねぎ、お肉にジャガイモとくれば、残る食材は……??

その他一同:(ハモって)カレー粉。

Aさん:その通り。

 

みたいな会話が一日に数回。あげく、ラジオで流れる何気ないトークショーでもこのハモリ芸に遭遇した。

 

これは偶然なのか、はたまたケニア人特有の癖なのか。

 

僕はといえば、唐突に踏み絵をさせられたような驚きと不安に襲われる。

 

一同をハモらせることに成功したリードボーカルは謎のドヤ感を出し、ややイラっとくる。

 

そして、皆がハモリ終わった静けさの中、僕の胸には何とも言えないモヤモヤが残る。この気持ちは一体何なのだろうか。

 

いや。賢明な読者の皆さまなら、僕の本当の気持ちはもうお察しのことだろう。

 

そう。僕も………

 

 

 

 

一緒にハモリたいのだ。

総理の支持率がヤバめを漂っている件

以前にも岸田内閣への支持率について記事にしたことがあったが、今回もなかなかの低水準だということで反応してみたい。

 

www.nikkei.com

 

しょっぱなから本題を外れるが、岸田政権の発足からもう丸2年も経っていたというのは少し驚きがあった。

 

日経によれば、日本の首相の在任期間は平均で2年ちょっとだというから、歴史に学べば岸田総理もぼちぼち降板の可能性が高いのかもしれない。*1

 

日本では総理を減点方式で評価することが多いのと、経済を特に重視しがちなので、在任期間が他国より短くなっているのではないかと想像する。

 

ただ、個人的には、政権運営に大きな問題がない総理であれば、在任期間は3~4年が妥当ではないかとは思う。

 

経済はもちろん大事だが、国政には実はもっと色々な評価軸がある(国防、外交、医療、防災などなど)。

 

また、総理というポストは(再任でない限り)どの政治家も初めて経験するポストであり、言っていれば誰もが総理初心者だ。

 

国のトップとして勉強すべきことが山のようにある要職で、せっかく成功も失敗も学んできた頃なのに、2年でさっさと替えるのは人材運用としてはやや勿体ない気もする。

 

以上が政権に「大きな問題がない」場合の一般論的な話だ。

 

 

岸田総理に関してどうだったかというと、失言や政治スキャンダルは歴代と比較しても少ないようには思う(自分が浅学なだけかもしれないが)。

※2023年12月12日時点では閣僚含む自民党安倍派に多数の政治資金スキャンダルが発覚している。これも政権にとって痛手だが、同時に自民党にとっても非常に大きなダメージなので、解散のタイミングは読みづらくなったかもしれない。

 

メディアを見る限り、岸田政権の不支持の原因は税制関係が一番大きそうだ。

 

曰く、増税メガネと揶揄される一方*2、減税をしたらしたで叩かれている。

 

それだけ税制は扱いが難しいらしい。

 

個人的には増税、減税というほかに、今ある税の使い道を合理化して節約することももっと大きな政治議題になってほしいと願う。官僚組織が最も苦手とするのが今ある事業の縮小、撤退だからだ。

 

岸田総理が音頭を取って、河野大臣がナタを振るうというのは良い体制のようにも思うが、果たして実現するだろうか。

*1:平均2年で首相交代 G7で伊に次ぐ短期 - 日本経済新聞

*2:余談になるが、増税メガネしかり、昨今ネットで口汚く書かれた揶揄をメディアがそのまま引用する形で記事やテレビで流しているのを非常によく目にする。ネットの書き込みを情報源にすることで自らは執筆責任を負わず、自分がしたい辛辣な批判を匿名の誰かに語らせているように見える。

 

匿名の批判なんてツイッターで記者がアカウントを作ればいくらでもできるし、実はごく少数の過激な意見でも、ツイッターを探せば簡単に見つけられる。

【自戒】ファスト情報社会と単純化する僕たちの思考

マクドナルドや吉野家のようなファストフードはどこに行っても人気がある。「安い、早い、旨い」が彼らの代名詞だ。

 

これをもじって僕が勝手に「ファスト情報」と呼んでいるものがある。

 

身近な例でいえば、ツイッターやインスタグラムのストーリーであったり、TikTokYoutubeに流れてくるショート動画などがその典型例といえる。

 

要するに、脳が簡単に処理できて、短時間で楽しめる、安価な(あるいは無料の)情報のことをファスト情報と呼んでいるのだ。

 

こうした情報は、大勢の人に人気があり、短い期間のうちに大量消費され、ときには中毒になる人も出てくるという点で、ファストフードとよく似ている。

 

僕は、そんなファスト情報を絶えず大量に消費していくことによって、我々の思考、ひいてはその集合体である世論が極端に単純化されていってはいないかということを危惧している。

 

 

この懸念を深堀りする前提として書いておくべきことがある。それは、基本的にファスト情報は内容が非常に簡潔で、白黒がはっきりとしているということだ。

 

ショート動画やツイッターでバズるコンテンツというのは、趣旨(企画)がすぐに理解できて、きれいなオチ(結論)に繋がるよう仕立てられている。

 

それによって、短時間の動画や短い文章でも多くの人が納得感を得られる内容となり、脳がストレスなく情報を咀嚼することができるのだ。

 

逆に、じっくり考える必要があったり、納得できるオチがない情報は短時間のコンテンツにはしづらい。具体的には書籍や新聞記事、長尺での解説動画といったものはファスト情報の対局にあり、「スロー情報」とでもいうべきだろう。

 

しかし、食事をすべてファストフードで済ませると栄養的に偏ってしまうのと同様に、ファスト情報ばかりを取り込むことには問題がありそうだ。

 

 

僕の懸念は、ファスト情報に慣れすぎると複雑な情報を取り込む力が鈍るのではないかということだ。

 

例えば、ここ数年で急に目にすることが多くなった言葉の1つに「論破」というのがある。バカな主張に対して徹底的に反論してこき下ろすというお決まりの流れがあり、ショート動画やツイートなどのファスト情報媒体と相性が良い。

 

確かに一種の爽快さがあるのも分かる。だが、僕はあれがとても嫌いだ。

 

それは、いつの間にか論破を応援する側に立っている自分に気づいて気持ち悪いからだ。

 

論破される側には、実は再反論するだけの材料があるかもしれない。あるいは単に口喧嘩が苦手なだけで、よく話を聞いてみれば実は立派な主張があったのかもしれない。

 

しかし、バカな主張→論破という美しい(?)ストーリーに加工されたファスト情報において、そうした消費者ののどにつっかえる小骨はきれいに切り落とされる。

 

そして、消化しやすいファスト情報ばかりを情報源にして過ごしていくうち、しまいには世の中の出来事が単純な二項対立ばかりだと錯覚してしまわないだろうか、ということを僕は恐れている。

 

イスラエルとガザの戦争のように、世の中にある対立は、解決が困難なものほど事情が複雑だ。

 

そうした複雑な、そして重要な対立構造にぶつかった時に、自分にはよく分からないから知らなくていいや、と無気力な反応になってしまうのではないかと心配になる。

 

あるいは、白か黒かの二択でしか物事の解決策を模索できないような思考回路になってしまわないか。多くの争いごとは白でも黒でもなく、その間の灰色が落としどころになるのにも関わらず。

 

タイトルには自分だけに限ったことではないという期待(?)を込めて僕”たち”と書いたが、要は僕自身が、そのような思考に知らず知らず陥り始めているのを自覚したという話だ。

 

これを自覚しないようになった時がより一層怖いので、忘れないうちに記事として残しておく。

ヘルズ・キッチン~地獄の厨房がフ〇ッキン面白い件

英語学習者の皆さん。時間を忘れるほど没頭できる英語のYoutubeコンテンツがあればな~と考えたことはないだろうか。

 

そんなあなたに是非ヘルズキッチンをお試しいただきたい。

 

www.youtube.com

 

ウィキペディアさんによれば

番組内容としては、『料理の鉄人』のような料理人対決型の料理番組と、いわゆるリアリティ番組の要素をミックスした番組。

毎シーズン1人の有名シェフ(チーフ)の元に複数の若手シェフが集められ、約2週間の共同合宿を送り、毎回チーフが出す様々な課題に対し料理を作る。完成した料理はチーフやゲストによる採点を受けるほか視聴者からの投票も受け付け、毎回下位の者が脱落していくという形式。最終的に勝者には有名レストランの料理長のポストなどが用意され、料理人としての出世が約束される。

そんな番組だ。

 

企画の面白さもさることながら、目玉はなんといってもコーチ役の有名3つ星シェフ、ゴードン・ラムジーによる鬼のようなスパルタ指導だ。

 

参加してきた若手シェフに対して、昭和世代も真っ青なコンプラ度外視の指導が容赦なく繰り出される。

 

作られた料理に不備があれば皿ごとゴミ箱行き。口答えでもしようものならFワードが3倍になって返ってくる。日本なら炎上間違いなしの過激な内容だ。これを観ればあなたのスラングの語彙は急速に向上するに違いない。

 

 

日本ではこの番組を観たことも聞いたこともなかったが、どうやら世界的には非常に有名なコンテンツであるらしい。

 

番組の本家であるイギリスでは当然ながら広く知られている。僕の指導教官(イギリス人)は僕がゴードン・ラムジーを知っていると聞いてとても嬉しそうだった。日本でいうところの松岡修造的な位置づけなのかもしれない。

 

さらに、オンライン英会話の先生たちにも聞いてみたところ、フィリピン、ブラジル、セルビアパプアニューギニア出身の4人ともヘルズキッチンを知っていた。

 

ちなみに、内容的に相当過激であるため、好き嫌いは分かれそうだというのが彼らと話しあった世界共通見解だった。

 

ただ、英語学習者の皆さんの中にはBBCやCNNはもう飽きたという方も多数おられることだろう。

 

BBCでは決して放送されない本場イギリスのswear wordsを学びたい(?)という方は是非一度ヘルズキッチンをご視聴いただきたい。