今年も残すところあと2日ということで、今年読んだマンガを振り返りたい。
イギリスに留学して1年が過ぎたが、相変わらず『呪術廻戦』や『チェンソーマン』、『怪獣8号』あたりはずっと読み続けている。果たしてジャンプから卒業する日は来るのだろうか。
上に挙げたのは言わずと知れた人気作品だが、それ以外にもたくさんの作品に出会うことができた。今回の記事では、世間でそこまで有名ではない個人的5つ星マンガを3つご紹介したい。
1.ひらやすみ
ビッグコミックスピリッツからは真造圭吾の『ひらやすみ』をご紹介する。
主人公のヒロト君、いとこのなつみちゃんたちが繰り広げる、何の変哲もない日常が舞台の本作。
日常に起こる「何か」は決して特別なものではないのだが、目の付け所がとてもハイセンスなところが気に入っている。
ヒロト君たちの世界には不幸せなことも起きる。ただし、そこには救いもある優しい世界線だ。真造氏の柔らかい画風にもよくマッチしている。
夜に読めば次の朝を温かい気持ちで迎えられる、疲れた大人のための絵本のような作品である。*1。
2.ヴァンピアーズ
2つめはアキリの『ヴァンピアーズ』を推したい。
本作は人間の女子中学生と吸血鬼の少女の恋愛を描いた百合ラブコメといった感じの作品。百合もラブコメもあまり好んでは読まないジャンルだが、この作品はとても面白かった。
まずマンガとしてのあらゆるクオリティがとても高い。ストーリーの面白さとテンポ感、構図の新しさなど、どれをとっても非の付け所がなく、「マンガ読んでるわ~!!」と嬉しくなるような、純粋な読む楽しさを味わえた。
テーマも面白い。
主人公の1人、アリアは吸血鬼で、本来は不老不死の存在だ。そのアリアがもう1人の主人公である女子中学生の一花に対して、自分を殺してほしいとお願いするところから始まるのだが、そんなアリアに対して、一花は恋愛感情を持ってしまう。
生と死。性と愛。そんなテーマを女子中学生の百合の中で描こうというのだから、それはもうえらいこっちゃだ(語彙の死)。
ともすれば重い話になりそうなものだが、シリアスとギャグが絶妙のバランス感でまとめられている。おかげで、ラブコメよりも深い場所に1歩踏み出しているのに、しっかりコメディとしても着地している。そんな一作。
3.あおざくら 防衛大学校物語
3作目は少年サンデーより、『あおざくら 防衛大学校物語』。
防衛大学校に入学した主人公の成長を追っていくのが本作の基本的な流れ。防衛大とは自衛隊の幹部自衛官を育てるための機関で、恥ずかしながら本作を読むまで筆者はその存在をよく知らなかった。
実在の学校をベースにした学園モノなので、読んでいて色々と学びがあるのが面白い(同じ理由から、荒川弘の『銀の匙』なども筆者は大好きだ。)。
ちょうどウクライナやガザの戦争の影響で国防に興味を持っていた時期で、かわぐちかいじ作品を色々と読んでいたところだったので、『あおざくら』も自分の興味にドストライクでぶっ刺さった。
主人公が色々な失敗や経験をして成長していくのは学園モノの常であるが、防衛大で課される訓練は生半可なものではない。そんな張りつめた日常にコメディ要素がうまく盛り込まれているので、良い意味で重過ぎず、サクサクと読み進めることができる。
以上、今年のお気に入り作品3つをご紹介した。
年末年始にお時間がある方はぜひお試しいただけると幸いである。