性的マイノリティへの理解促進に向けた議員立法が衆議院を可決したということで、NHKが各者の立場を幅広くとらえて記事にしていたのが興味深かったので久しぶりに時事ネタとして書いてみることにした。
まず今回のLGBT法案だが、法律といっても特に細かいルールを決めたものではなく、大まかな共通認識や政府がこれから基本計画を作るなどの道筋を示したもので、いわゆる理念法と呼ばれるものだ。
個人的に興味を惹かれたのは以下の部分だ。
自民の一部議員 欠席や採決前に退席
要するに、保守寄りの自民党の中でも特に保守派の議員たちが暗に反対の意を示すためにボイコットしたという話だ。
今回の法案は、同性婚のように社会制度そのものに関わる個別のルールを決めるものではなく、あくまでLGBTの人たちに対する差別はダメですよね、多様性を受け入れる社会にしましょうね、という理念の部分を固める趣旨のものである。にも関わらず、彼らが反対していた点が僕には違和感として映った。
投票行動から見える彼らの(そして彼らの支持層の)立場は、「性的マイノリティのことなんて考えたくもない!」ということになる。
僕はLGBTに関する問題を考える際は「自分の子どもがもしLGBTだったら」と考えることにしている(孫でも家族でもなんでもいい)。そう考えると、少しでも我が子が、家族が差別されず心穏やかに過ごせる社会であってほしいなと思う。
この保守派議員の方々はそのような心配とはまったく無縁なのだろうか。退席した議員らは、もし可愛い孫が将来LGBTを告白してきたら立場を変えるのか、あるいは孫よりも支持層の声を大事にして今の姿勢を貫き通すのだろうか。(もし孫の幸せよりも自分の立場に固執するような人間なら、僕だったらソッコーで縁を切るが。)
もちろん、各論としてLGBTの方々の利益が ”現時点では” 別の方の不利益につながり得る問題はある。よく挙げられるのは、見た目は男性で性自認が女性の方(トランス)の場合、男女どちらのトイレに入ればいいのか、という問題だ。僕が住んでいるイギリスは世界の中でもLGBTの問題によく取り組んでいる国の1つだが、ここでも皆が納得する解決策はでていない。
だが、そうした各論は是々非々でこれから議論していけばよいし、そのためにも議論の土台となる理念法が成立に向かっていることは歓迎すべき流れなのではないかと思った。